穐田誉輝 くふうカンパニーでの挑戦とは
2018年5月15日のことです。日本の市場に衝撃が走りました。カカクコム、クックパッド代表執行役として名をあげた穐田誉輝氏が、株式会社くふうカンパニーを設立すると公表したのがこの日だったのです。
その後2018年10月1日に、株式会社オウチーノと株式会社みんなのウェディングの共同株式移転により、株式会社くふうカンパニーが設立されました。
カカクコムやクックパッドなど複数の企業で経営トップを務め、いずれの場所でも株式上場や多くのユーザーの支持を獲得し続けた穐田誉輝さんが、新たな挑戦としてくふうカンパニーを立ち上げたのが2018年5月15日でした。クックパッド時代から考えていた構想を仕切り直しで行うことになった穐田誉輝さん、株式を保有していた株式会社オウチーノ、株式会社みんなのウェディングをベースとした株式会社くふうカンパニーが設立されることになります。
クックパッド時代、穐田誉輝さん曰く、クックパッドはまだ一発屋の段階にあり、別の勢力が新たなサービスを生み出した時、クックパッドの必要性は落ちると考えていました。クックパッドはレシピサイトだけにこだわってはいけないと様々な活動を行っていき、その中でクックパッドは成功をおさめますが、創業者はそこまでを求めておらず、方針の違いから、穐田誉輝さんがクックパッドを去ることになったという経緯があります。
株式会社オウチーノは住まいの情報を中心に、みんなのウェディングは結婚式に関する情報などを中心に、そして、ロコガイドは「トクバイ」など周辺のスーパーマーケットやドラッグストア、ホームセンターのチラシの情報を扱うサービスを展開しており、いずれもクックパッド時代に新規事業として立ち上げていました。
くふうカンパニーの立ち上げは、クックパッド時代にできなかった事業を改めて自分の資本の中で、自分の手で実現させようとするリベンジの舞台でもあります。もちろん、自分のためだけでくふうカンパニーを立ち上げるわけではありません。くふうカンパニーを設立する際に、多くの経営者、起業家を育てる思惑があるのです。くふうカンパニーのホームページには、「求む!未来の経営者」というページがあります。現在もグループ会社をどんどん子会社化させていく中で、くふうカンパニーの考えをしっかりと身に着けた経営者がどんどん現場に出ていくことを穐田誉輝さんは求め、実際に行動を起こしています。
実際にくふうカンパニーに入社した人物の中には、わずか3か月で取締役を務めることになった人物もいます。取締役の経験もなければ、その業界の経験すらない人間がいきなり重役になることに、普通の人であれば躊躇しますし、そこまでの決断をできる経営者はなかなかいません。しかし、穐田誉輝さんは経営者をどんどん育てていくため、そのリスクを負い、英才教育を受けさせるのです。
そこには穐田誉輝さんのポリシーや経験が関係していると思われます。穐田誉輝さんは大学卒業後、将来的には起業すると考え、会社をビジネススクールと捉えて、ギブアンドテイクを心がけながら起業に向けた準備を行ってきました。上場までのプロセス、マーケティング、マネジメント、実業の経験など1つ1つの経験を重ね、ベンチャーキャピタルでの経験を活かし、カカクコムやクックパッドなどの経営に参加して、日本を代表するエンジェル投資家になっていきます。穐田誉輝さんは、エンジェル投資家の立場から、資金提供をしたくなるような起業家、経営者の存在が少し少ないことを痛感しており、これらの人材を育てていかなければならないことを考えた結果、くふうカンパニーを設立した際に、経営者や起業家を育てる計画を立てたと思われます。常に自分の頭で考える、そのことを周囲に求め続けてきた穐田誉輝さん。クックパッド時代にはそれがなかなか受け入れられませんでしたが、くふうカンパニーの立ち上げで賛同する人物が集まってきたことで、日本のビジネス界を大きく変えるかもしれないうねりになることを願わずにはいられません。